歯周病とリウマチ、知っておきたい相互の影響

リウマチ教室

歯周病とリウマチは、一見すると関係がないように思えるかもしれませんが、実はお互いに影響を与え合うことが分かっています。それぞれの病気がどのように影響し合うのか、そしてリウマチ患者さんが歯周病対策としてどのようなことに気をつければ良いのかを、分かりやすく解説します。

歯周病がリウマチが互いに与える影響

お口の中にいる歯周病菌が、全身に様々な影響を与える可能性があります。

  • リウマチ発症のリスクを高める可能性:
    • 歯周病菌の一種であるジンジバリス菌が、リウマチに関わる特定の抗体(抗CCP抗体)を作るのを促すかもしれないという研究があります。
    • ある研究では、関節に痛みがある歯周病患者さんは、歯周病のない患者さんに比べて、その後リウマチと診断され、治療を始めるリスクが約2.7倍高かったと報告されています。
  • リウマチの症状を悪化させる可能性:
    • 歯周病によって生じる炎症物質が血液を通じて全身に広がり、関節の炎症を悪化させる可能性があります。
    • 歯周病を放っておくと、関節リウマチの症状が悪くなることが研究で分かっています。
  • リウマチ治療薬の効果を弱める可能性:
    • 歯周病菌の感染が、関節リウマチの治療薬の効果を邪魔する可能性も指摘されています。

リウマチやその治療が、お口の健康に影響を与えることもあります。

  • 歯周病にかかりやすくなる:
    • リウマチ患者さんは、免疫機能の異常や治療薬の影響で、歯周病になりやすい傾向があります。ある研究では、関節リウマチの患者さんはそうでない方に比べて、歯周病である可能性が35%高いとされています。
  • お口の衛生状態が悪くなりやすい:
    • リウマチによる関節の痛みやこわばりがあると、歯磨きなどの口腔ケアが難しくなり、歯垢がたまりやすくなるため、歯周病のリスクが高まります。
  • お口が乾燥しやすくなる:
    • リウマチに伴うシェーグレン症候群を発症すると、唾液が出にくくなり、お口の中が乾燥しがちになります。唾液には細菌の繁殖を抑える働きがあるため、乾燥すると歯周病が進みやすくなります。
  • 薬の副作用:
    • リウマチの治療薬には、お口の中のカンジダ菌を増やしたり、歯茎からの出血を引き起こしたりする副作用があり、歯周病を悪化させる可能性があります。

歯周病治療がリウマチに与える影響

歯周病の治療を行うことで、リウマチの炎症が和らぎ、症状が改善したという報告があります。これは、歯周病菌や炎症物質が減ることで、全身の炎症反応が抑えられるためと考えられています。

リウマチ患者さんのための歯周病対策

リウマチをお持ちの方は、歯周病の予防と早期治療がとても大切です。

  1. 丁寧な口腔ケア:
    • 歯磨き: 関節の痛みがある場合は、持ちやすい電動歯ブラシなどを活用し、歯と歯茎の境目を丁寧に磨きましょう。
    • 歯間清掃: 歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間は、歯間ブラシやデンタルフロスを使いましょう。
    • 入れ歯の手入れ: 入れ歯を使っている場合は、毎食後と寝る前にしっかり洗いましょう。
  2. 歯科医院での定期的なケア:
    • 定期検診: 症状がなくても定期的に歯科検診を受け、歯周病の早期発見・治療に努めましょう。
    • プロによるクリーニング: 歯科衛生士による専門的なクリーニングで、自分では落としきれない歯垢や歯石を除去してもらいましょう。
  3. 口腔乾燥への対策:
    • 口腔乾燥がある場合は、保湿剤や人工唾液を使ったり、こまめに水分を摂りましょう。
    • 保湿効果のある洗口液もおすすめです。
    • 唾液腺マッサージや、よく噛んで食事をすることも唾液の分泌を促します。
  4. 感染予防:
    • 免疫抑制剤やステロイドを使っている場合は、感染症のリスクが高まります。お口の中を清潔に保ち、歯周病を予防することが、全身の感染リスクを減らすことにつながります。
    • 抜歯などの歯科治療を受ける際は、事前にリウマチの担当医に相談しましょう。
  5. 薬の副作用への注意:
    • リウマチの治療薬によって、お口の中に異常を感じたら、歯科医師やリウマチ医に相談しましょう。
  6. バランスの取れた食事:
    • 免疫力を保つために、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
  7. 禁煙:
    • 喫煙は歯周病だけでなく、リウマチにも悪影響を及ぼします。禁煙を強くお勧めします。

歯周病とリウマチは密接に関わっています。両方の病気をしっかりと管理することで、より健康な毎日を送ることが期待できます。気になることがあれば、早めに歯科医師やリウマチ医に相談することが大切です。

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