EORAとは?
60歳以降に発症する関節リウマチを
EORA(イオラ)= Elderly-Onset Rheumatoid Arthritis
と呼びます。
従来のイメージでは「リウマチは若い女性がなる病気」と言われていますが、EORAは60代以上で男性に多く発症するケースと言われております。
1. EORAの特徴
発症が急激なことが多く・大きな関節・炎症反応(CRP)が高い
- 「朝突然、手首や足首が腫れて動かせなくなった」
- 「数日で全身の関節が腫れ上がった」
また、従来型RA(40歳代の発症)は指や手関節などが多いですが、EORAについては肩関節・膝関節・股関節などの大関節に炎症が出ることが多いとされています。高齢発症では、炎症反応(CRP、赤沈)が非常に高値になるケースがあります。
リウマチ因子(RF)や抗CCP抗体は陰性のことも多い
EORAの一部では、RF陰性・抗CCP抗体陰性で血液検査ではリウマチが出にくい人もいます。そのため、症状とエコー(あるいはMRI)で診断することが重要です。また高齢者の浮腫性関節炎(RS3PE)の鑑別も必要です。
RS3PEとの違い
| 項目 | EORA | RS3PE |
|---|---|---|
| 発症 | 急激 | 急激 |
| 痛み | 強い | やや軽め |
| 浮腫 | そこまで多くない | 手足が浮腫状にパンパンになる |
| 血液(抗CCP) | 陽性も多い | ほぼ陰性 |
| 治療への反応 | 薬が必要 | ステロイドで劇的に改善することが多い |
1 高齢発症の関節リウマチ(RA)治療と注意点
高齢者の関節リウマチ(RA)の治療では、併存疾患や副作用のリスクを考慮し、より慎重な薬剤選択が必要です。
高齢者の方の治療における注意点
高齢者は、以下の感染症や基礎疾患のリスクが高いため、特に抗リウマチ薬(DMARDs)や生物学的製剤の使用には注意が必要です。
- 感染症リスクが高い疾患:
- 肺炎
- 帯状疱疹
- 尿路感染症
- 薬剤選択・使用に注意が必要な基礎疾患:
- 心疾患
- 腎機能低下(腎障害)
- 糖尿病
- 骨粗鬆症
特に、メトトレキサート(MTX)や生物学的製剤/JAK阻害薬などの強力な治療薬を使用する際は、これらの併存疾患との相互作用や感染症のリスクを十分に評価する必要があります。必ず主治医や薬剤師と治療方針についてよくご相談ください。
当院の治療方針について
当院では、患者様お一人お一人の既往歴や体調、ライフスタイルを詳細に考慮し、個々の状態に合わせた治療方法を決定しています。
- 早期に適切な治療を開始することで、QOL(生活の質)の向上が見込まれます。
- 関節の痛みや違和感が気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。
ワクチン接種
特に中高年の方には、RA治療中にリスクが高まる感染症を予防するため、以下のワクチン接種をお勧めしています。
- シングリックス(帯状疱疹ワクチン)
- RSウイルスワクチン(RSVワクチン)
接種をご希望の方、またはご検討中の方は、スタッフにお声掛けください。
