「リウマチは治るの?」
「リウマチ治療はみんな同じなの?」
リウマチ治療
関節リウマチの進行を放置すると、関節の破壊など身体を動かす機能を奪われ、日常生活に影響を及ぼす可能性があります。関節リウマチの治療で重要なのは、早期診断と早期治療を行うことです。
リウマチ治療の目標:寛解を目指す
関節リウマチ治療の目標は、病気の勢いを抑えた「寛解」状態を目指すことです。
「寛解」とは、病気の勢いがほぼ消失した状態をいいます。血液検査や関節の腫れや痛みなど身体症状も含め、ほとんど正常な状態をいいます。薬を必要としないドラッグフリーな状態です。
病気自体の元は残っている可能性がありますが、安定した状態でリウマチ薬が必要ないレベルのことです。
2001年時点では約8%だった寛解率も、2020年には約60%台まで飛躍的に向上しています。(東京女子医大IORRA調査)
「寛解」までの道のりは千差万別
リウマチ治療はオーダーメイド
これは患者さんの一人ひとりに個人差があり、さまざまな要因(性別・年齢・リウマチ症状の程度・進行速度・治療薬への反応・副作用の出方・ライフスタイルなど)が絡み合います。治療計画はその都度カスタマイズされていく必要があります。
寛解を目指すには
寛解に至るまでのプロセスは一人ひとり異なりますが、
患者さんと専門医の両者が協力しながら、治療を進めることが重要です。
生活習慣の見直し
偏りがちの食生活、喫煙、お酒の飲みすぎに注意しましょう。
患者さん自身の生活習慣の改善も大切です。
- 適度な運動:関節の可動域を保つためのストレッチや軽い運動。
- 栄養バランスのとれた食事:抗炎症作用が期待できる食品(魚の脂肪、野菜、果物)を取り入れる。
- ストレス管理:ストレスは免疫システムを乱す要因となるため、リラクゼーションや趣味を取り入れることが効果的です。
T2T( Treat to Target)目標達成に向けた治療の考え
リウマチ治療ではTreat to Targetという概念のもと「臨床的寛解」という明確な治療達成の目標を設定しています。関節リウマチの進行、症状の強さ(疾患活動性)は刻々と変化するため、関節の破壊を未然に防ぐよう、その都度、状態の評価を行い、治療薬の種類や投与量を調整していきます。
早期診断、早期治療
リウマチ治療で重要なことは早期診断と早期治療です。
リウマチ専門のクリニックでは、抗CCP抗体やRF(リウマチ因子)の血液検査、X線、関節超音波検査を用いて早期診断を行います。
また、診断後、速やかに治療を開始できる環境があります。
リウマチの基本治療薬
リウマチ治療は患者さん一人ひとりによって治療法が異なりますが、MTXはリウマチ治療の第一選択とされていますので、まずはこの薬から始めることになります。
MTX
MTXなどの抗リウマチ薬は炎症を抑え、進行を遅らせ、病気の進行を防ぐための基本的な治療薬です。MTXは特に増殖の高い免疫細胞の活動を低下させ、自己免疫反応を抑えます。
MTX単独で十分な効果が得られない場合は、次の段階の生物学的製剤やJAK阻害薬をMTXの治療に併用したり、他の治療薬に切り替えます。
生物学的製剤もJAK阻害薬も数種類ありますので、どの薬が患者さんに合うのか、治療効果を定期的に評価しながら最適な薬剤の組み合わせを見つけていきます。
生物学的製剤
体内の特定の分子や細胞を標的として、病気の進行を抑える効果があります。
TNFやIL-6、B細胞やT細胞など特定の分子を標的とするお薬です。
この薬剤の登場により、寛解を目指すことが可能になりました。
JAK阻害薬
細胞内の情報伝達に必要な酵素JAKにくっつき、情報経路の伝達を断ってしまうお薬です。炎症を引き起こす伝達経路をブロックします。
前述の生物学的製剤と同等か、それ以上の効果が期待されています。
本院では、生物学的製剤8種類とJAK阻害薬5種類を採用しています。
リウマチ専門医
リウマチ専門医は、リウマチ治療のエキスパートです。
リウマチ専門医は、「患者さん一人ひとりのリウマチ治療」を行うために、さまざまなリウマチ薬を把握し、適切な治療を提案します。また、感染症対策・合併症予防や副作用の管理も行っています。リウマチ治療は長期的にわたることが多いため、患者さんとの信頼関係を築きながら、患者さんの不安や疑問に寄り添うことも重要な役割です。
患者さんだけで悩まず、専門医の力を借りて適切な治療を受けましょう。
もしご自身の病気や治療について不安がある場合は、主治医に相談することをおすすめします。しっかりと理解し、納得のいく治療を選びましょう。