喫煙と関節リウマチ

リウマチ教室

喫煙は関節リウマチの発症リスクを高めるだけでなく、罹患後の病状を悪化させ、治療効果を低下させるなど、多岐にわたる悪影響を及ぼします。

喫煙がリウマチに悪い4つの理由

  1. リウマチになりやすくなる
    • 喫煙者は非喫煙者と比較して、リウマチを発症するリスクが高まります。
    • 喫煙量が多いほど、また喫煙期間が長いほど、リスクは増大します。
    • 受動喫煙でも、リウマチになるリスクが高まる可能性があります。
    • 特定の遺伝子(HLA-DRB1)を持つ喫煙者は、そのリスクがさらに高まります。
  2. リウマチの病気がひどくなる
    • 喫煙を続けると、関節の痛みや腫れが重症化しやすくなります。
    • 関節の骨や軟骨の破壊が進行しやすくなります。
  3. 薬が効きにくくなる
    • リウマチ治療の主要な薬剤である「メトトレキサート」や「生物学的製剤」の効果が低下することが報告されています。
  4. 歯周病との関連
    • 喫煙は歯周病のリスクを高め、歯周病は関節リウマチを重症化させる一因と考えられています。

なぜ喫煙がリウマチに悪影響を及ぼすのか?

喫煙が関節リウマチの発症や悪化を促すメカニズムは複雑ですが、主に以下の点が挙げられます。

  • 自己抗体産生(抗CCP抗体)の促進
    • 喫煙により、肺に慢性的な炎症が生じ、特定のタンパク質が変化(シトルリン化)します。
    • 体はこれを異物と認識し、「抗CCP抗体」を産生します。
    • この抗CCP抗体は、リウマチの診断マーカーであり、この抗体を持つ患者さんは病状が重症化しやすい傾向にあります。喫煙は、この抗CCP抗体産生を強力に誘導する主要な因子です。
  • 全身の炎症反応の促進
    • タバコに含まれる有害物質が、全身の酸化ストレスを増大させ、慢性的な炎症反応を引き起こします。
    • これにより、関節の炎症が悪化し、病状の進行が加速します。
  • 免疫系の異常な活性化
    • 喫煙は、マクロファージやT細胞といった免疫細胞を活性化させ、炎症を引き起こすサイトカイン(TNF-α、IL-6など)の産生を増加させます。
    • これらのサイトカインは、関節の炎症や骨・軟骨の破壊を促進します。
  • 血管系への影響
    • 喫煙は血管を収縮させ、血流を悪化させます。関節リウマチ患者さんは心血管疾患のリスクが高い傾向にあり、喫煙はさらにそのリスクを高めることになります。

まだ喫煙されている方は是非禁煙にチャレンジしてみてください。

参考文献

喫煙者本人の健康に影響 (厚生労働省e-ヘルスネット)

関節リウマチはタバコでリスクが高くなる!?(静岡リウマチネットワーク)

喫煙:関節リウマチの確実なリスクファクタ-(J-Stage)

「関節リウマチ患者の大規模調査で、喫煙が自己抗体価に及ぼす影響を明らかに」 (理化学研究所)

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