シェーグレン症候群について

シェーグレン症候群 原田先生のリウマチコラム

シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群とは膠原病のひとつで、ドライアイ、ドライマウスなどの症状が特徴です。

膠原病とは、自分の免疫が自分の身体を攻撃してしまう病気です(自己免疫疾患といいます)。

シェーグレン症候群では自分の免疫が自分の涙腺を攻撃してしまい、涙が出にくくなったり、唾液腺を攻撃して唾液が出にくくなったりします。鼻腔の乾燥や膣の乾燥がおこることもあります。だるさや関節痛、うつ、皮膚トラブル(紫斑や環状紅斑)といった症状も伴うことがあります。

また、肺や腎臓の症状(間質性肺炎や間質性腎炎)を起こすこともあり、全身の状態を見る必要があります。

また関節リウマチを含め他の膠原病を合併することが多いので、注意してみていきます。

診断基準

  1. 血液検査で抗SS-A抗体という自己抗体があるか調べます。
  2. 眼の渇き具合を眼科で検査してもらいます。
  3. 唾液の出具合を調べる、ガムテストを行います。
  4. 口唇生検をすることもあります

上記①-④のうち2項目が当てはまると、シェーグレン症候群の診断になります。

ただ、薬の副作用で口が乾くこともありますし、他の病気の除外は必要です。

治療

口の渇き

まずは非薬物療法を試します。糖を含まない酸っぱい飴やガム、キシリトール、レモン水などです。

これで効果が不十分な場合、薬物療法を勧めます。サラジェンやサリグレン、エボザックは唾液の分泌を増やす効果がありますが、発汗などの副作用があり、使いづらいと感じる方も少なくありません。ビソルボンやムコダインなどの去痰薬も試してみることがあります。

重症の方では、人口唾液(サリベート)や市販の口腔ジェル等を塗ると症状は軽減されます。

目の渇き

点眼薬が有用です。

涙の分泌促進…ジクアス点眼液、ムコスタ点眼液、ヒアレインなど

涙の補充…人工涙液(マイティア、ソフトサンティアなど)

点眼薬で効果不十分な場合、涙点プラグを挿入し、涙の排出を防ぐ方法もあります。

膣の渇き

かゆみや性交痛がおこります。市販の膣用保湿剤や潤滑剤が有用です。

女性ホルモン補充が効果的な場合もあり、婦人科で相談してみるのも良いでしょう。

関節痛

ロキソニンやカロナールといった鎮痛薬(NSAIDs)を用います。症状が強い場合、少量ステロイド内服をすることもあります。

肺や腎臓など臓器病変

内服ステロイド治療、免疫抑制療法を行います。

日常生活で心がけること

定期的に歯科にかかりましょう

シェーグレン症候群では唾液が減るため虫歯になりやすいです。毎日の歯磨きに加えて、定期的な歯科通院をしましょう。

水分補給を大切にしましょう

シェーグレン症候群では、唾液や涙の分泌が減少することが一般的です。水筒を持ち歩いて、こまめに水を飲む習慣をつけましょう。

部屋の湿度を保ちましょう

特に冬場は、湿度を保つことで乾燥症状が和らぎます。

適度な運動を心掛ける

適度な運動は体調を整え、関節の痛みや運動能力の低下、精神的な落ち込みを防ぎます。ただし、無理な運動は避け、自身の体調に合った適度な運動を心掛けましょう。

ストレス管理を大切にする

シェーグレン症候群の症状はストレスと関連して悪化することがあり、うつ症状が出やすいことも知られています。リラックスする時間を持ち、ストレスを軽減する方法を見つけることが重要です。例えば、趣味に没頭したり、深呼吸やヨガを試してみたりするのも良い方法です。

周囲の人に理解を求める

シェーグレン症候群は見た目では分からないことが多いです。家族や友人に自身の状態を説明し、理解とサポートを求めることで、日常生活がより快適になります。一緒に外来に来ていただいて、医師から説明を受けても良いかもしれません。

参考文献

欧州リウマチ学会

EULAR recommendations for the management of Sjögren’s syndrome with topical and systemic therapies
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