関節リウマチと帯状疱疹について

帯状疱疹について 原田先生のリウマチコラム

帯状疱疹とは

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスが原因で起こる皮膚の病気です。子どもの頃に水ぼうそうに感染すると、ウイルスが体内(神経節)に潜伏し、何十年もあとに免疫が低下した際にウイルスが再活性化して発症します。

50代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。(Shiraki K. et al.; Open Forum Infect Dis. 4(1), ofx007, 2017)
通常、体の左右どちらかに、帯状に神経に沿って、ぴりぴりした痛みを伴う赤い発疹と水ぶくれが生じます。

多くの場合皮膚症状が治ると痛みも消えますが、約2割の方でその後も長く痛みが残る「帯状疱疹後神経痛」が起こります。また帯状疱疹のできる場所によっては、角膜炎、顔面神経麻痺、難聴、髄膜炎などの合併症をおこすこともあります。

治療法

症状が軽度から中等度の場合は、飲み薬の抗ウイルス薬で治療します。抗ウイルス薬には、症状と痛みを改善し、重症化を予防、帯状疱疹後神経痛を起こりにくくする効果があります。
症状が重い場合は入院して抗ウイルス薬の点滴をすることもあります。

早期に治療開始したほうが効果は高いので、早めの受診(皮膚症状が出てから3日以内)が望ましいです。

帯状疱疹は1度発症したら2度とならないわけでは無く、免疫が落ちた際などに約6%の割合で再発します。

また、帯状疱疹の水ぶくれの中には水ぼうそうのウイルスが入っているので、水ぼうそうになったことのない(ワクチンをまだ打っていない)乳幼児には水ぼうそうとしてうつることがあります。乳児や妊婦は水ぼうそうが重症化するリスクがあるので、帯状疱疹を発症した方は赤ちゃんや妊婦への接触を避ける必要があります。

関節リウマチと帯状疱疹

基礎疾患がある場合、帯状疱疹の発症リスクが高くなりますが、関節リウマチのある方は2倍以上起こりやすいという報告があります。

特にJAK阻害薬(ゼルヤンツ、オルミエント、リンヴォックなど)内服中はリスクが高くなります。

帯状疱疹のワクチン

帯状疱疹はワクチンで予防することが出来ます。50代以上の方、または18歳以上で帯状疱疹罹患リスクが高い方が対象です。

ワクチンは生ワクチンと不活化ワクチン(シングリックス®)があります。
関節リウマチ患者さんでは、免疫を抑える治療をしているので生ワクチンは投与できず、不活化ワクチンであるシングリックスを投与することになります。

シングリックスは2ヶ月間隔で2回投与します。帯状疱疹の発症を予防し、重症化も予防、帯状疱疹後神経痛の発症予防効果があり、効果は9年以上持続することがわかっています。

→関節リウマチ患者さん、特に50歳以上の方、JAK阻害薬を内服している方はシングリックスをうち、帯状疱疹を予防することが望ましいです。

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