リウマチの原因になる遺伝子は現在発見されているんでしょうか

関節リウマチと遺伝子 リウマチ治療最新情報

はい、リウマチの原因となる遺伝子は現在も研究が進められています。

リウマチ性関節炎(rheumatoid arthritis)は、免疫系の異常が関与しており、多くの遺伝的な要素も関与していると考えられています。

現在の研究により、リウマチ性関節炎と関連する複数の遺伝子が同定されています。最も重要な遺伝子の一つは、HLA-DRB1遺伝子です(https://www.jstage.jst.go.jp/article/cra/33/2/33_92/_pdf/-char/ja )。HLA-DRB1遺伝子は免疫系のタンパク質で、リウマチ性関節炎の発症リスクと関連しています。特に、HLA-DRB1遺伝子の一部の特定のバリアント(HLA-DRB1*04)は、リウマチ性関節炎の発症リスクを増加させることが知られています。

他の関連遺伝子も同定されていますが、その役割やリウマチ性関節炎との関連性はまだ完全には解明されていません。

研究は進んでおり、新たな遺伝子の同定やリウマチ性関節炎の発症メカニズムの理解に向けた取り組みが続いています。

関連する遺伝子の研究について、最近では以下の報告がされています。

関節リウマチを悪化させるタンパク質TAp63を同定。

関節リウマチ治療の第一選択薬である、メトトレキサートの効果の仕組みを解明していく段階で、TAp63という遺伝子の働きが弱くなることがわかった。このTAp63の遺伝子が働いていると、Foxp3遺伝子の発現が低下し、関節リウマチが悪化することも明らかになった。マウスをつかった実験で、このTAp63遺伝子の働きを抑えることで関節リウマチが改善されることも実証された。

千葉大学大学院医学研究院と確保旭中央病院、かずさDNA研究所の共同 2023.5.23
https://www.cn.chiba-u.jp/en/news/press-release_e230523/

国際ゲノム解析により関節リウマチの遺伝的背景を解明

日本人集団を含む五つの人種集団から構成される約28万人のゲノム解析を行い、関節リウマチの発症に関わる34個の遺伝的変異を新たに同定した。

理化学研究所、大阪大学、東京大学、京都大学、産業医科大学、東京医科歯科大学、東京女子医科大学、ハーバード大学 2022.11.10
https://www.tmd.ac.jp/press-release/20221110-1/

関節リウマチの新たな発症メカニズムの発見

セマフォリン4D(Sema4D)が関節軟骨に直接作用し、関節リウマチを引き起こすメカニズムを解明した。 Sema4Dは関節軟骨破壊作用をもつタンパク質の探索から発見された。 炎症性関節炎のマウスモデルで関節液中のSema4Dが増加し、喪失することで軟骨変性が防止された。 Sema4Dが炎症性サイトカインとして関節軟骨細胞に作用し、関節軟骨破壊を直接誘導していることがわかった

大阪大学大学院歯学研究科の村上智彦講師、西村理行教授らの研究グループ 2022.11.2
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2022/20221102_1
https://www.science.org/doi/10.1126/scisignal.abl5304

これらの研究によって、関節リウマチの解明や新しい関節リウマチ治療薬の開発に期待できます。

ただし、リウマチ性関節炎は単一の遺伝子の変異によって引き起こされる遺伝疾患ではなく、遺伝的な要素と環境要因の相互作用が関与していることが示されています。したがって、遺伝子の影響だけでリウマチ性関節炎の発症を予測することはできず、他の要因も考慮する必要があります。

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