関節リウマチ患者さんの災害への備え

リウマチ患者さんの災害時の対応について 原田先生のリウマチコラム

年始の能登半島地震の被害は甚大で、今も多くの方が困難な生活を強いられています。

被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

災害への備えについて、改めて考えた方も多いのではないでしょうか。

災害時、関節リウマチ患者さんは特にどんなことに注意するのが良いかまとめました。

リウマチ患者さんが災害時に困ること

2004年の中越地震では、

  • ステロイドを飲み忘れて関節痛が生じ、余震の中薬を取りに戻った
  • 自力で動けず運んでもらった
  • 避難所暮らしで合併症が悪化した
  • 人工関節置換術後の方が、車中泊をしていたら一時歩けなくなった

などのケースが報告されています。

リウマチ薬の服用について

お薬は1週間分程度ストックを作っておくことをお勧めします。

お薬手帳も普段から持ち歩くようにしましょう。また災害が起こる前に一度オンライン診療経験して慣れておくことも大事です。

スマホでオンライン診療

オンライン診療はアプリで簡単に受診できます。

本院のオンライン診療についてをご確認ください。

ご案内はこちら

特に切らしてはいけない薬はステロイド(プレドニゾロン、リンデロンなど)です。長期に内服していたステロイドを急にやめてしまうと、離脱症状(血圧低下、意識障害など)が起こることがあります。副腎不全といいます。

リウマチ性多発筋痛症や膠原病でプレドニゾロン5㎎以上内服している方は、特に注意が必要です。

メトトレキサートや生物学的製剤(エタネルセプトやアクテムラなど)は、1-2週間の中断で大きな変化は起きにくいです。JAK阻害薬も数日程度の中断では通常悪化しません。

しかし、もともとのリウマチの病勢が落ち着いていない場合はその限りでなく、少し足りなければ痛みが出てくることも考えられます。

災害時、お薬を持ち出せるようにしておくことも大事になります。いつも持ち歩くカバンの中に、数日分のお薬を入れておくのもよいでしょう。

気を付けること

被災した際は身の安全を第一に考え、状況が落ち着くまでは家に戻るのは避けましょう。

薬は、処方箋がなくても、薬局が対応可能なら、医師の電話やメモがあれば数日分の調剤が認められています。

また、災害救助法が適応された場合には、救護所や避難救護センターなどで処方箋の交付を受け調剤が可能です。(お薬手帳のコピーや携帯電話での写真があると便利です)

自力で避難するのが困難な方を対象に「避難行動要支援者支援制度」があります。避難支援に関わる関係者(民生委員、自治会、自主防災組織、消防、警察など)に事前に要支援者名簿を提供し、災害時に避難支援や安否確認を行うことをめざした仕組みです。詳細は市区町村にお問い合わせください。

参考文献:

日本リウマチ学会 メディカルスタッフのためのライフステージに応じた関節リウマチ患者支援ガイド「災害時に対する備えと対応について」
https://www.ryumachi-jp.com/jcr_wp/media/2022/03/life_4-1.pdf

タイトルとURLをコピーしました