回帰性リウマチ

リウマチ教室

 一般的な【関節リウマチ】と発作的に関節炎を繰り返す【回帰性リウマチ】が、別の病気だと勘違いされる方がいらっしゃるかもしれませんので解説させていただきます。

 関節リウマチの初期段階では、痛みが一定の関節に定着せず色々な所に移動することが多くあります。よって回帰性リウマチは、関節リウマチの初期段階と考えられます。この回帰性リウマチと呼ばれる初期段階で治療を開始すれば早期に症状を和らげることができます。

 回帰性リウマチの特徴・治療・予防をまとめましたので下記をご確認ください。

回帰性リウマチの特徴

関節炎


 関節炎(関節の腫れ、痛み、赤み、熱感)を発作的に繰り返します。発作の数時間~数日で20~50%は、関節リウマチを発症(ごく一部は他の膠原病を発症)します。 手指関節、手、膝、肩、足に多く(下記参照)、小さな皮下結節が合併することもあります。

関節リウマチとの違い


関節リウマチの初期段階もしくは軽症のものと考えるべきで、別の疾患ではありません。

検査


  回帰性リウマチでは、レントゲン上骨に異常はありません。リウマチで陽性となる抗体が、陽性になることもあります。

関節リウマチへの移行


 リウマトイド因子陽性の場合、約3倍関節リウマチに移行しやすいとする報告もあります。他に手関節やPIP関節に症状もあり、女性・高齢発症である場合も関節リウマチに移行しやすいとされています。

治療


発作時は、非ステロイド抗炎症薬(ロキソニンなど)で経過をみます。効果が得られない・発作頻度が多い場合は、抗リウマチ薬を使用する場合もあります。

図 表1発作時の関節障害分布 参考文献

Guerne, P. A., Weisman M. H.:Palidromic Rheumatism:part of or apart from the spectrum of rheumatoid arthritis. Am. J. Med. 93
Gonzalez-Lopez, L., et al. :Prognostic factors for the developement of rheumatoid arthritis and other connective tissue deseases in patients with palindromic rheumatism. J. Rheumatol. 26(3): 540-545, 1999 27(1): 41-46, 2000

予防に関して


 残念ながら確実な予防策というのは現時点ではありません。しかし、喫煙や肥満がリウマチ発症のリスクであること、歯周病の原因菌がリウマチの発症に関与している可能性が言われています。禁煙や歯科に通院することで口腔内衛生に努めたり、食事・運動を注意して生活習慣病を予防することで発症リスクを下げることは望めるかと予想されます。

 もっと重要なこととしては関節リウマチを発症した際の治療の早期介入です。関節の腫れが持続的でおさまらない場合(目安として6週間以上)には、積極的に繰り返し検査を検討する必要が出てきます。

 特に採血で抗CCP抗体陽性となる・リウマトイド因子が正常上限の3倍以上となる・炎症反応(CRP,ESR)陽性となる・(身体診察や採血では炎症がおさまっていても)関節エコーで炎症所見がある場合は、関節リウマチとして治療介入の対象となるでしょう。

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