リウマチ性多発筋痛症の症状と診断・治療

リウマチ性多発筋痛症について 原田先生のリウマチコラム

関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症の違いとは?

リウマチと似た名前ですが、別の病気です。英語ではpolymyalgia rheumatica、PMRと略します。

50歳以上の中高年で発症する、原因不明の炎症性疾患です。

首、肩、股関節、太ももに痛みが起こり動けなくなったり、熱が出たりします。

手をバンザイする動きができなくなります。手の指にはあまり症状が出ないのが一般的です。

発症は突然で、症状は数日で進みます。

リウマチ性多発筋痛症の検査

血液検査

CRPなど炎症を示す値が上がります。筋肉痛が起こりますが、血液検査では筋肉のマーカー(CKなど)は上がりません。痛みが起こっているのは実は筋肉ではなく、関節や腱なのです。関節リウマチのマーカー(リウマトイド因子や抗CCP抗体)、抗核抗体は通常陰性です。

画像検査

関節超音波検査やMRI検査では、上腕二頭筋腱の腱鞘炎、三角筋下滑液包炎、肩峰下滑液包炎など、関節や腱の炎症所見が高頻度でみられます。

リウマチ性多発筋痛症の治療

ステロイドがよく効きます。プレドニゾロン換算で、通常1日12.5-25mg使用し、内服後1-3日で症状のほとんどが消失します。

寛解に至れば(寛解とは:痛みがなくCRPなどの炎症値が0の状態)、ステロイドは少量ずつ減らしていきます。ステロイドだけでは治療効果が不十分だったり、ステロイドを減量すると症状が再燃したりしてしまう患者さんでは、メトトレキサートやサラゾスルファピリジンを併用することもあります。

また現時点では保険適応外ではありますが、リウマチ治療で使われるアクテムラ(生物学的製剤:抗IL-6レセプター抗体)も効果があるという報告があります。

注意が必要な合併症

リウマチ性多発筋痛症は、悪性腫瘍を合併する割合が高いことが知られています。診断されたら、CTや胃カメラ、便潜血検査など一通りのがん検査を受けるようご案内しています。

また、巨細胞性動脈炎という血管炎の合併も見られることがあります。欧米では10-30%程度合併するというデータがありますが、日本では比較的まれです。頭痛(こめかみの痛み)や目の見えにくさ、顎の疲れ(食べている途中で顎が疲れてくる)などが特徴的な症状です。

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2015 Recommendations for the management of polymyalgia rheumatica: a European League Against Rheumatism/American College of Rheumatology collaborative initiative
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