READ TIME約 7 分 / カテゴリ関節リウマチ — 妊娠・出産・育児
関節リウマチ / 妊娠・出産
No. 02— RA Column

妊娠・出産・育児とリウマチ治療の両立

Pregnancy & Childrearing with RA

「リウマチだから子どもを諦めなければ…」そう思っている患者さんへ。リウマチだからと子どもを諦める必要はありません。医師が教える、安全な妊活と治療の両立について、丁寧にお伝えします。

01
Two Prerequisites

妊娠のための2つの前提条件

下記の2つがクリアできれば、希望を持って妊娠に臨むことができます。
01
Condition

リウマチが落ち着いている

02
Medication

妊娠可能な薬剤で治療中である

妊娠のためにはリウマチの病勢が落ち着いている必要があります

「この先妊娠を希望しているのに、こんなに強い薬を使っていいんでしょうか」と聞かれることがあります。また、今後妊娠したいので…と治療を受けず、ずっと痛みを我慢している方にも出会ったことがあります。

しかし、リウマチの病勢が強い患者さん、またプレドニゾロン(ステロイド)を7.5mg以上内服している患者さんNSAIDs(ロキソニン®など)内服中の患者さんでは妊娠率が低下することが報告されています。

まずは薬をしっかりと使って治療をし、リウマチの病勢を抑えることが妊娠のために重要です。また、強い痛みの中では子育ても大変になってしまいます。

Our Goal
当院では半年以内の寛解を目指します

当院では早期に、具体的に言うと半年以内の寛解を目指して治療を行っています。

02
Preconception Care

プレコンセプションケア

プレコンセプションケアとは妊娠前ヘルスケアのことで、将来の妊娠を考えて女性やカップルが自分の生活や健康に向き合い、計画的に妊娠をすることです。

リウマチ治療と並行して、ご自身でもできることがあります。

External Resource
プレコン・チェックシート

国立成育医療健康センターが提供する「プレコン・チェックシート」を参考に、ご自身の健康状態を確認することをおすすめします。

国立成育医療健康センター プレコンセプションケアセンター →

03
Safe & Unsafe Drugs

妊活・妊娠中の薬剤について

リウマチ治療で使用する薬剤には、妊活中・妊娠中に使用可能なもの避けるべきものがあります。

Safe to Use

妊活中・妊娠中に使用できる薬剤

  • エタネルセプトエンブレル® / 生物学的製剤・胎盤移行性が低い
  • セルトリズマブペゴルシムジア® / 生物学的製剤・胎盤移行性が低い
  • サラゾスルファピリジンアザルフィジン® / 内服薬
  • タクロリムスプログラフ® / 内服薬
Should Be Avoided

妊活中・妊娠中に避けるべき薬剤

  • メトトレキサート (MTX)催奇形性あり / 中止後3カ月から妊活可
  • イグラチモドケアラム® / 催奇形性あり
  • JAK阻害薬ゼルヤンツ® / オルミエント® など
  • NSAIDsロキソニン® など / 排卵障害、動脈管閉鎖の恐れ

MTX(メトトレキサート)について

メトトレキサート・イグラチモド(ケアラム®)は催奇形性があります。男女ともに、メトトレキサート内服中止後3カ月後から妊活を開始することができます。

JAK阻害薬について

JAK阻害薬(ゼルヤンツ®、オルミエント®など)は催奇形性があり使用できません。

プレドニゾロン(ステロイド)について

かつて妊娠中のリウマチコントロールの基本薬剤と考えられていましたが、口唇口蓋裂の可能性がわずかながら上昇するという報告があります。また、血圧上昇、高血糖、高脂血症などの副作用があり、妊娠時特有の合併症を助長する恐れがあります。

NSAIDs(ロキソニンなど)について

NSAIDsは排卵障害をおこす可能性があり、また妊娠後期に使用すると動脈管閉鎖などの恐れもあります。妊娠前から内服・外用剤の中止を検討し、アセトアミノフェン(カロナール®)での代用が望ましいです。

男性の方へ

男性ではサラゾスルファピリジン(アザルフィジン®)内服中に可逆的な精子数減少や精子運動機能低下を示す場合もあり、精子の検査も検討されます。

04
Contraception

避妊について

メトトレキサートは胎児の催奇形性が報告されているので、内服している間は確実な避妊が必要です。

Important
経口避妊薬(低用量ピル)の使用が望ましい

コンドームでの避妊効果は十分ではなく、経口避妊薬(低用量ピル)の使用が望ましいです。

低用量ピルが使えない場合は子宮内避妊器具の使用も検討されます。婦人科で相談してみてください。

05
During Pregnancy

妊娠がわかったら

まずは医師に相談してください。妊娠中の治療方針について、一緒に最適な方法を考えていきましょう。
39-90%
妊娠中にリウマチが
改善する患者さんの割合
大部分の方
TNFα阻害薬を妊娠判明時に中止すると
妊娠中に再燃する患者さんの割合

妊娠中は39-90%の患者さんでリウマチは改善すると言われていますが、一方、TNFα阻害薬(エンブレル®やシムジア®)を妊娠判明時に中止すると大部分の患者さんは妊娠中に再燃しているという報告もあります。

より良い方法を一緒に考えさせてください。

06
Postpartum Life

産後の生活

38-90%
産後にリウマチが再燃する患者さんの割合

産後、38-90%の患者さんでリウマチが再燃すると報告されています。

ホルモンバランスの変化の影響に加えて、抱っこや授乳等で関節に負荷がかかることが原因の一つと考えられます。授乳中使用可能な薬剤を用いて治療を組み立てます。

External Resource
育児中の関節負担軽減

関節に負担をかけない抱っこの仕方やお世話の工夫は、以下のホームページも参考になります。

NPO法人 リウマチ性疾患に全人的医療で取り組む J-ネットワーク →

Consultation
妊娠・出産のご相談はお気軽に

リウマチをお持ちの方で妊娠・出産をお考えの方は、ぜひ事前にご相談ください。計画的に治療内容を調整することで、安全に妊娠・出産・育児に臨むことができます。

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