関節リウマチと動脈硬化
関節リウマチ患者さんでは、動脈硬化のリスクが高いことが知られています。
動脈硬化による病気には、心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞、脳出血)、大動脈解離などがあります。
どうしてリウマチ患者さんで動脈硬化が進みやすいの?
一般的に動脈硬化のリスクとなるのは、コレステロールが高い、肥満、糖尿病、高血圧といったメタボの症状が主です。
しかし、リウマチ患者さんにおいては、コレステロールや中性脂肪ではなく、炎症(CRP高値など)が動脈硬化のリスクとなります。
関節リウマチの有無にかかわらず女性における心血管の危険因子
Solomon,D.H.,Curhan,G.C.,Rimm,E. B.,et al.:Cardiovascular risk factors in women with and without rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum.,50:3444- 3449,2004.
https://acrjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/art.20636
つまりリウマチの炎症が強いままだと、動脈硬化が進む可能性が高くなるのです。
リウマチ患者さんの動脈硬化が進むのを防ぐには?
関節リウマチの炎症を抑えること
リウマチの原因となるTNF-αや IL-6などのサイトカインが、動脈硬化の原因にもなります。
Oppenheimer-Marks,N.,Lipsky,P.E.: Adhesion molecule in rheumatoid arthritis.Springer Semin.Immunopthol.,20: 95-114,1998.
メトトレキサートやTNFα阻害薬(生物学的製剤)を使用することで動脈硬化による病気の発症リスクを30%減らせるという報告があります。
メトトレキサートが主に心血管死亡率を低下させることにより、生存に実質的な利益をもたらす可能性があることを示してる
Methotrexate and mortality in patients with rheumatoid arthritis: a prospective study. Lancet 2002; 359: 1173
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140673602082132/fulltext
痛みを我慢せず、十分な治療をしていくことが大事です。
また、ステロイドの使用には注意が必要です。
炎症を抑えて動脈硬化を良い方向に導く一方、脂質・糖代謝、血圧などのリスクを増強させる可能性があり、最小限の使用にとどめるのがよいでしょう。
生活習慣病のコントロール
一般的に、脂質異常症、糖尿病、高血圧、喫煙は動脈硬化のリスクです。運動、バランスの良い食事、体重管理、禁煙など、生活習慣の見直しが動脈硬化の進行を抑えます。